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巻頭特集「手紙を書こう」

文豪たちの恋文、女流作家の私信

教科書で見た気難しそうな顔から、とっつきにくいイメージの文豪。今なおまっすぐな生き方が共感を呼ぶ昭和の女流作家たち。本誌では、意外性に満ちたラブレターや、人柄がにじみ出る手紙などを紹介しています。

文豪たちの恋文
  • 夏目漱石と妻・鏡子の往復書簡
  • 芥川龍之介から塚本文へのまっすぐで甘いプロポーズ
  • 斎藤茂吉から永井ふさ子への激しい手紙
  • 竹久夢二から岸たまきへのロマンチックな手紙
  • 加藤道夫から妻・治子への最後の手紙
女流作家の私信
  • 宇野千代から友人・佐多稲子への手紙
  • 向田邦子から恩師への手紙
  • いわさきちひろから家族への手紙
  • 岡本かの子から友人・江口渙への手紙
  • 壺井榮から妹への手紙
  • 林芙美子から夫への手紙

芥川龍之介から塚本 文へのプロポーズ

芥川龍之介が24歳のときの手紙。8つ年下の塚本文は、跡見女学校に在学中でした。龍之介は2年後に結婚するまでの婚約時代にも、数多くのやさしいラブレターを送っています。夜中に書いた手紙のなかでは「もしそこにボクがゐたら、いい夢を見るおまじなひにそうつと?
の上を撫でてあげます」、結婚式の直前には「今これを書きながら小さな声で『文ちゃん』と云って見ました。文ちゃんを貰ったらそう云って呼ぼうと思っているのです」――。小説からはとても想像つかない甘い言葉を残しておきながら、プロポーズの10年後には自殺してしまう龍之介。しかし、文はこれらの手紙を亡くなるまでの40年以上もの間、大切に保管していたそうです。 

出典:『芥川龍之介全集』第18巻(岩波書店/1997年)
PROFILE

写真提供:国立国公図書館ホームページ

芥川龍之介
1892年、東京府生まれ。家庭の事情で幼い頃より母の実家で育てられた。幼少期から感受性が強く、書物を読みあさる。東京大学在学中の1915年に『羅生門』を発表、翌年『鼻』で認められる。27年自殺、享年35歳。

塚本文
1900年、東京府生まれ。18歳のときに龍之介と結婚。
芥川作品にもたびたび登場する。比呂志、多加志、也寸志の3児をもうけ、芥川の死後、女手ひとつで子供を育てる。68年に病死、享年68歳。