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ほたるの誘惑。

 ここ数年『ホタルを見たいなぁ』と毎年のように思ってきた。大人になってからは、都会に住んでいるということもあってか、気軽に見かけなくこともなくなり、好きなホタルから遠のいていた感があったし、実際に、田舎の方でもずいぶんと少なくなったと耳にしたりしていた。

そんな中、何年か前に、美術館で体験した、草間彌生さんのインスタレーション作品『蛍の群舞の中に消滅するあなた。』で、体験したことのないよう無数のホタルの光の中に身を置く最高の幸せを感じ、それがきっかけで、私は「蛍、ホタル」とずっと思い続けてきた。ドットの作品が多い草間さんにとって、闇にほんのり光る蛍の光も、大自然のドットに見えたのかもしれない。天然のドット。動くドット。

 今年は、この間訪れた京都の山で、ゲンジボタルの乱舞を見られ、本当に幸せだった。不規則に、心のままに舞うかのような蛍の光は、涙を誘うほど幻想的で、夢のような現実の中にいた。実際は、心にその風景が焼きついたのだから、夢でも現実でも、どちらでもよかったのかもしれない。翌日目にした提灯の灯りも、ホタルの光の残像に見えた。

 

 

 

 

 

この週末訪れた山梨は、ゲンジボタルはそろそろ終わりで、ヘイケボタル。少し光りは小さめだけれど、出逢える喜び、ふたたびだった。地元の方も、ホタルを呼び戻そうと、川をきれいに、蛍の食べるカワニナを用意したりと、頑張っている成果も、徐々に出てきているそうだ。泊まっていた旅館のおやじさんが、大の蛍ラバーで、「蛍がいるところに連れてってあげるよ」と、夜も遅いのに、嬉しそうに連れ出して蛍ツアーをしてくださったことが、また嬉しかった。水の流れが清々しい夜の川へ、蛙がいっせいに鳴く夜のクレソン畑へ、はたまた、山の上へ上へと車を走らせ、ホタルに逢わせてくれた。「ほたるは、人が騒いだ方が出てくるんだよ」と言われ、え??と思ったのですが、実際、ちょっと賑やかにしてみれば、一つ二つと、蛍の光が草むらや木の枝に。サービス精神旺盛!人なっつこいホタルたち。手を伸ばしても、逃げることなく、むしろ、ふわりふわりと手元に近づいてくるようだった。

 町の「ホタル祭り」に顔を出せば、子供たちがホタル籠を作っていたり、虫かご一杯にホタルを集めて入れていたり。懐かしい光景のようで、もしかしたら消えゆく光景なのかもしれないなぁ、と、大人になって思う「ホタル祭り」…。ホタルも人も、自然に集まるきれいな川は、本当に財産。私も、まだまだ、このさき、ホタルの群舞の中に消滅する自分を体験したいと願う。あのホタルたちの光は、自然とともに生きることの幸せへ、誘っている風だった。

こんな、こんもりした緑ときれいな川に、ほたるがたくさん。


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